４１５ページにもなる分厚い本です。 目次にあるプレーヤそれぞれについて、インタビュー、スタイル分析、タブ譜が掲載されています。 インタビューはかなり突っ込んだもので、おそらくは、この本のために新たになされたものでしょう。

納められている曲の数は、それほど多くないので、英文が苦手でタブ譜のみ拾い読みする方には、 不向きかもしれません。 しかし、内容は非常に充実しており、ご自分で演奏されるならば、インタビューやスタイル分析は、 自分のスタイルを作り上げていくのに役立つと思います。

重要なプレーヤーが何人か、落ちているのが残念です。

同名の本の和訳版です。 元の本を持っているので、この本自体はあまり読んでいません。 従って、訳が適切かどうかなど、ここには書けないのが残念です。 内容については、英語版の方を参照してください。

たぶん、この本は現時点で最も入手し易い本でしょう。 内容もしっかりしているし、こういう本を日本語で読めることは幸せなはずです。

ブルーグラス・バンジョーに関することが、丁寧に整理されて書かれています。 奏法上では通常のロール（スクラッグス）スタイルと、メロディック（キース）スタイルが取り上げられているし、 シングルストリング（リノ）スタイルにもわずかですが触れています。 ただ単にフレーズや曲が並んでいるだけでなく、例えば、バンジョーの役割など、バランスよく文章が書かれています。 例題曲も多いし、難易度の異なるアレンジがされているので、練習にも丁度良いでしょう。

お薦めの本なのですが、当然ながらアレンジやフレーズの偏りがあります。 特に、後半の方は、カントリークッキングの曲が出てくるぐらいですから、いわゆる、 メインストリームらしくない雰囲気になっています。 この辺、承知の上で読むべきものだと思います。

トニー・トリシュカと、著者のワーニックは、 カントリー・クッキング、または、ブレックファスト・スペシャル （この二つのバンドの関係がよく判っていないのですが）のメンバーで、教則本などを沢山出しています。 トリシュカよりもワーニックの方がオーソドックスなバンジョー奏者というイメージですが、 これは、比較の問題であって、ワーニックもなかなかです。 その、ワーニックがアレンジに投影されている、そのことを頭の片隅に入れておいて読みましょう。

この本の日本語版がシンコーミュージックから出ています（上で紹介）。

タイトルどおり、メロディック・スタイルに焦点を当てた本です。 プレーヤーごとの分析、サンプル曲、インタビュー。 さらに、典型的なリックなど充実した内容です。 プレーヤーの選択も妥当な線だと思うのですが、個人的には、 エリック・ワイズバーグを入れている（しかも１章を割いている）のが気に入りました。

ソノシートが付属しています。Fiddle Tune Final　の章でタブ譜が掲載されている曲が 収録されていますが、なかなか、楽しい演奏です。

リックが、スタイルや用途別に、山盛り、タブ譜で掲載されています。 また、最後のセクションには、数人のプレーヤーを取り上げて、 使われるリックを紹介しています。

ここにあるリックをつなぎ合わせれば、曲の演奏ができるというものではありません。 取り扱い方や、また、自分のスタイルとの整合性など、いろいろ考えるべく事があります。 とはいえ、発想の出発点、あるいは、新しいスタイル探索の原点として捉えると、 貴重なフレーズの資源ということになるでしょう。 英文ですが、タブ譜が多いので英文の苦手な方にもお薦めです。

日本語で書かれていて、普通に読めます。 一通りのスタイルには触れていて、タブ譜も読みやすく、実用的なフレーズも掲載されています。 アレンジも、割合に普通なのではないでしょうか。これは、教則本にとっては大切なことですから。

対中さんという方が、書かれたバンジョーの教則本です。 少なくとも手元にある本は、校正が悪く、タイトルにも、「BLVE GRASS」とあるぐらいです。 タブ譜はＪＳ法というもので書かれていますが、 これは、普通のタブ譜を赤と黒の二色刷りにしたもので、五弦の線が赤、数字は親指が赤、 といった具合に右手のフィンガリングを色で表しています。中指は常に１弦を担当することになっています。 印刷譜はこれでいいかもしれませんが、手書きの場合は面倒ではないでしょうか。

取り上げられている曲は、いったい、どこがブルーグラス？という具合ですが、これは、 たぶん、当時のフォークソング全盛にあわせて、なじみやすい曲を！という配慮だと思います。 肝心のタブ譜の内容ですが、多くの場合には、普通のロールスタイルになっています。

同じ著者の前作と比べて大幅に改善されています。 校正は良くされているし、練習曲もブルーグラスらしい曲に置き換えられています。 記譜の方法もＪ★Ｓ法というものに変わりました。 これは、タブ譜なのですが、五弦の親指には★、その他の弦の親指には数字の上に★という形で、 右手を表します。中指は一弦に固定、★のついていない二弦から四弦は人差し指ということになります。 二色刷りをやめたので、手書きでも不自由ではなくなりました。 アレンジは普通のロールスタイルです。 やや、メロディラインを追いかけすぎて、フレーズ感が乏しいのですが、入門用ならば、 これで良いのかもしれません。

前半は、オールドタイム／ストリング・バンドの時代から、ブルーグラス、 さらに、（当時の）最新プレーヤーまで、時代を追って、代表的なプレーヤーを取り上げています。 それぞれに、解説を加え、スタイル分析をし、数曲のコピータブ譜を載せています。 こちらは、かなり、力が入っているし、取り上げたプレーヤーもなかなか渋くて楽しいです。

後半は、バンジョー曲集となっっています。 一部に、同じ著者の他の本と使いまわししているものもあります。 曲数としては十分でしょう。

たぶん、この本の価値は、前半のプレーヤー毎の章で、 英文が苦手だと、かなり、損をすることになります。

チュートリアルを兼ねた曲集という構成になっています。 ですから、難易度の低いものから高いものへと曲が配置されています。 都市部のファン対象に「スリーフィンガー・バンジョー」を紹介したものと思われ、 表紙の絵もブルー・グラスとあるにも係わらず、オープンバックのバンジョーが書かれています。 １９６５年という、古い本であるにもかかわらず、 曲によってはメロディックスタイルで書かれていることは、注目すべき点でしょう。

全２８曲のバンジョー曲集です。 ロール奏法のだけでなく、メロディック奏法も使われています。 全体を通して、アレンジは、結構実用的なものだと思います。

メロディック・スタイル（キース・スタイル）にアレンジしたフィドル曲が大量に集められています。 特に際立ったアレンジということではなく、淡々と、メロディを演奏可能なタブ譜に変換してあるという印象を持ちました。 アレンジが凝っていない分、フィドル曲集としてみれば、貴重なものかもしれません。 あまり知らない曲もずいぶんあります。 レパートリーを増やす良い材料になると思います。

サブタイトルにあるとおり、一応、ブルーグラス・バンジョーのソロを１コーラスずつタブ譜にしたものです。 譜面は、メロディ譜、バンジョーのタブ譜と五線譜の三段組になっていて、手書きですが読みやすいものです。 右手の運指記号がありませんが、問題ないでしょう。 たぶん、コピーライトの関係でしょうが、ブルーグラスそのもといった選曲ではありません。 アレンジは、結構、荒っぽく、インデックスリードの 3-3-2 割りが多く使われています。

主に、フィドル曲をバンジョーのソロとして１コーラス分づつアレンジしたものです。 取り上げているバンジョーのスタイルは、次の通りです。

1. オールドタイム
   • Clawhammer Style
   • Melodic Clawhammer Style
   • Galax Style
     リードノートが弦を滑らせるように（例、２→１弦）移動したり、 親指のタイミングを逆にしたりする、一風変わったダウン・ピッキングのバリエーション
2. ブルーグラス
   • Scruggs Style
   • Melodic Style

特に、オールドタイムはスタイルが偏っているように思います。 しかし、大量のフィドル曲が掲載されているので、新しい曲を発見する楽しみもあります。

一応、scruggs が著者ということでしょうが、実際には、Bill Keith が書いたそうです。 本もこの辺はぼかしてあって、Earl Scruggs著とは書いてありません。

内容は非常に充実していて、バンジョーに関する知識から、教則部分、タブ譜まで盛り沢山です。 実際、この本の通りに練習するだけでも、上手なバンジョー・プレーヤーになれるのではないでしょうか。 強いて言えば、スタイルの幅が狭いことぐらいですが、これは、「スクラッグス」の本ですから当然です。

この本の副教材的なレコードも出ています。 これも入手すると良いと思います。

以下三冊、たぶん、同じ人が出した本だと思います。楽器屋さんで購入しました。 スクラッグスのレコード・コピー・シリーズですね。 タブ譜は整理されていて、手書きにもかかわらず、見易いです。 気になるのは、権利関係ですが、どうなんでしょうか？ ちょっと、気持ち悪いので、実は、このシリーズの本はしまいこんだままになっていました。

上の本の続きです。たぶん、これも、レコードコピーでしょう。

これも、上の本の続きでしょう。 同名の Flatt and Scruggsのレコードコピーだと思います。

Don Reno自らが書いた、簡単な自伝と、ソングブックになっています。 歌は歌詞にコードが降ってあるだけのものです。 録音記録がついているので、貴重な記録にもなっているわけです。 写真も豊富に入っているので、そちらの価値も高いでしょう。

Don Renoによるバンジョー教本です。 各種コードのポジション、スケールが大半を占めます。 右手のロールがいきなり、三連譜から始まるのがいかにもレノらしい。

Alan MundeとSam Bushが昔出していた、 Poor Richard's Almanacというレコードの中から数曲、 バンジョーのパートのタブ譜を、Alan Munde自身が書いたものだそうです。 それぞれのソロパートの１コーラスがのみがタブになっています。

楽器屋さんに置いてあって、それほど高くなかったので、とりあえず買ってしまったものです。 元のレコードが好きな人なら、自分でコピーするでしょうから、この本は要らないかもしれません。

Alan Mundeのレコードの自身によるタブ譜です。 写真もあり、ジミー・マーティンのバンドでのアラン・マンデの姿なぞもありました。 タブ譜自体はそれぞれ、１コーラスづつぐらいです。

Carl Jacksonの曲集です。 本人公認のタブ譜ということになります。 １曲ごとに丁寧な解説がついています。 指使いが本人のものとして、話を進めると、 当然、メロディック奏法が多いのですが、ロール奏法もあります。 指使いで不思議なのは、親指の連続使用が多いことです。 この指使いで一定以上の速度で弾くのは至難だと思うのですが、 かなりな速度で弾いているようです。 しかし、カール・ジャクソンはトップスピードで弾くものが少ないのは、 この辺りが影響しているのかもしれません。

メロディック（キース）・スタイルの創始者といわれる、ビル・キースについての本です。 薄い本のほとんどがタブ譜で占められています。 １曲まるごとというコピー譜ではないので、物足りないかもしれません。 が、ちょっと、弾いてみようかな、という向きには便利でしょう。

この本が出た頃は、ミュージック・セール社が原宿に店を出しており、そこに行けば、 Oak Publications の本などを簡単に購入できたし、この本をはじめ、 日本語版の本が多数、ミュージック・セールス社から出版されていました。 この頃は、柄にもなく、原宿に通ったものです。 輸入本の入手は現在のほうが容易ですが、日本語版に関しては当時のほうが状況が良かったことになります。

オールドタイム・バンジョーの様々なスタイルを書いてある本です。 クロハマ・バンジョー以外のスタイルにも触れているので、貴重な本です。 わずか８８ページしかないのですが、内容は非常に充実しています。 オールドタイムのバンジョーを弾く方ならば、興味深く読めると思います。

かつて、この本ぐらいしか入手できなかったので、何度も繰り返して読みました。 私のバンジョースタイルのひとつの出発点になっています。

タイトルどおり、クロハマ・バンジョーの本です。 同じ著者の本でペアになるアパラチアン・フィドルの本があるので、 そちらも入手されると良いと思います。

いわゆるメロディック・クロハマ・スタイルよりも、ビート感を重視した内容になっています。 フィドル＆バンジョーの組み合わせでリズムを失わないような配慮だと思います。 タブ譜も見やすく、掲載されている曲も多いので、お買い得です。

ダウン・ピッキング、つまり、クロハマ・スタイルで、 細かい音を織り込んで弾くスタイルの教則本です。 今、クロハマ・バンジョーというと、このスタイルをさすことが多いのではないでしょうか。

きちんと書いてあるし、掲載されている曲も多く、タブ譜の書き方も判りやすいので、 お薦めの本です。 著者の演奏を納めたソノシートも付属しています。 この演奏は、私にはつまらない演奏でした。 ダウンピッキングの持つ、ビート感が感じられない、ツラツラ弾きです。 この辺、キース・スタイルのバンジョーでも同じようにツラツラ弾きが多いのですから、 メロディラインに拘ると、どうしても、陥りそうな罠なのかもしれません。 文章を読む限りでは、著者は、どうも、ビート感のある演奏を嫌っているような印象です。

主に、ダウンピッキング用にアレンジされたフィドルチューンの曲集ですが、 曲数も多く、また、様々なスタイルが詰め込まれています。 さらに、最後の方では、プリ・ブルーグラスのフィンガー・ピッキングまでカバーされています。 文章による解説や、参照レコードなど非常に充実しているのですが、 タブ譜が特殊なのが残念です。 特にタイミングの記法や小節線の使い方が、標準と大きく異なっているので、解読が困難です。 普通のタブ譜で書かれていれば、このジャンルでの超お薦め本だったのですが、残念です。